春野菜の土づくり完全マニュアル|植え付け前が9割を決める

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春野菜の土づくり完全マニュアル| 植え付け前が9割を決める ライフ

春野菜づくりで最も重要なのは、**種まきや苗選びではなく「土づくり」**です。
春は生育が早く失敗も目立ちやすいため、土の状態がそのまま収穫量・味・病害虫リスクに直結します。本記事では、家庭菜園〜小規模栽培を想定し、春野菜に最適な土づくりを準備段階から順を追って解説します。初めての方でも迷わないよう、作業の目的と注意点をセットで整理しました。

春野菜の種が芽ぶいている画像

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春野菜の土づくりが重要な理由:成功と失敗を分ける「4つの壁」

春は生命が芽吹く「育ちやすい季節」というイメージがありますが、菜園初心者にとっては意外な落とし穴が多い時期でもあります。春野菜のポテンシャルを最大限に引き出すためには、春特有の環境リスクを理解し、土壌を最適化しておくことが不可欠です。

なぜ春の土づくりは「難しい」のか?

  1. 地温の低さ:根の活動を妨げる「冬の名残」 日中の気温が上がっても、土の中(地温)はすぐには温まりません。地温が低いと根の吸水・吸肥力が低下し、苗を植えてもなかなか活着(根付くこと)しない原因になります。
  2. 多湿・ぬかるみ:根を窒息させる「菜種梅雨」 春は周期的に雨が降りやすく、地温の低さと相まって一度ぬかるむとなかなか乾きません。土が過湿状態になると根が酸素欠乏を起こし、根腐れを招くリスクが高まります。
  3. 生育スピードの速さ:土の準備不足が「手遅れ」に 暖かくなると野菜は一気に急成長します。この「爆発的な成長期」に土の栄養バランスが崩れていたり、土が硬かったりすると、修正が間に合わず収穫量に直結してしまいます。
  4. 病害虫の活発化:弱った株は「標的」になる 気温の上昇とともに害虫や病原菌も一気に動き出します。土づくりが不十分で軟弱に育った株は、これらの攻撃を真っ先に受けることになります。

春野菜を成功に導く土づくりの4ステップ

これら春特有の難しさを克服するために、以下の優先順位で土を整えていきましょう。

① 排水性:根に酸素を届ける「水の逃げ道」

まずは、水はけの良い環境を作ることが最優先です。高畝(たかづえ)にしたり、堆肥を混ぜて土を団粒構造(ふかふかの状態)にしたりすることで、長雨による根腐れを防ぎます。

② pH(酸度):肥料を効かせるための「化学バランス」

日本の土壌は酸性に傾きがちです。春野菜が好む「弱酸性(pH6.0〜6.5)」に調整しておくことで、投入した肥料が効率よく植物に吸収されるようになります。

③ 肥料バランス:過不足のない「腹八分目」の設計

春は勢いで肥料を入れすぎてしまいがちですが、特に窒素過多は害虫を呼び寄せ、病気を誘発します。元肥は控えめにし、成長に合わせて追肥でコントロールするのが賢明です。

④ 地温の確保:成長を加速させる「保温対策」

土が完成したら、マルチング(黒ポリフィルムなど)を早めに施しましょう。太陽熱を土に閉じ込めて地温を上げることで、根の張りが劇的に良くなり、春の急成長を力強くバックアップします。

春幸運して土壌の画像

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春野菜の土づくり全体スケジュール:逆算で「理想のベッド」を作る

春の菜園において、土づくりは「苗を買ってから」始めるものではありません。肥料や石灰が土に馴染み、微生物が活性化するまでには一定の時間が必要です。

以下のスケジュールを目安に、植え付け当日に「最高の状態」で苗を迎え入れられるよう準備を進めましょう。

【保存版】土づくり逆算カレンダー

時期 やること ポイント
植え付け6〜8週前 作付け計画・畑の確認 何をどこに植えるか決め、水はけをチェックする。
植え付け3〜4週前 石灰散布・耕うん 酸度(pH)を調整。石灰が土に馴染むまで時間を置く。
植え付け2〜3週前 堆肥・元肥の投入 有機物と肥料を混ぜる。分解時のガス障害を防ぐ期間。
植え付け1週前 畝立て・マルチ張り 畝を作って黒マルチを張り、地温をしっかりと上げる。
植え付け当日 定植・種まき 土が温まり、準備万端の状態でスタート!

鉄則:苗を買う前に土づくりを完了させる

苗を先に買ってしまうと、準備不足の土に植えることになり、根焼けや生育不良のリスクが激増します。「土が先、苗は後」を徹底しましょう。

水はけをよくするために土質改良が必要

① 排水性を最優先で改善する:根に「呼吸」をさせる土壌デザイン

春野菜の健やかな成長を支える土台は、実は肥料よりも**「土の中の酸素」**にあります。 春は「菜種梅雨」に代表されるように雨が多く、地温もまだ低いため、一度土がドロドロになると乾燥しにくいのが特徴です。土壌が過湿状態になると、根が酸欠に陥り、いくら高価な肥料を与えても吸い上げることができません。その結果、生育不良や根腐れ、さらには病害を招く原因となります。

自分の畑は大丈夫?排水性のセルフ診断

作業を始める前に、雨上がりの畑を観察してみましょう。以下の項目に1つでも当てはまる場合は、事前の排水改善が必須です。

  • 雨の翌日になっても、畑のあちこちに水たまりが残っている
  • 歩いた時の足跡に水が溜まり、数時間経っても引かない
  • 土を手のひらで握ると、崩れずにベタッと固まったまま(粘土状)になる

排水性を劇的に変える「4つの基本対策」

排水に不安がある場合は、種まきや植え付けの前に、物理的な環境改善を行いましょう。

1. 完熟堆肥で「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」を作る

完熟堆肥や腐葉土などの有機物を土に混ぜ込みます。微生物の働きによって土の粒子が小さな塊(団粒)になることで、粒子間に適度な隙間が生まれます。これにより、**「余分な水はサッと抜け、必要な水分と空気は蓄える」**という、理想的な「呼吸する土」に生まれ変わります。

2. 高畝(15〜25cm)にする

通常よりも畝を高く盛り上げることで、野菜の根が広がる主要なエリアを地下水位より高く保ちます。物理的に水没から守ることで、大雨の後でも根が窒息するリスクを大幅に軽減できます。

3. 畝間の溝を深く切り、水の逃げ道を作る

畝と畝の間の通路(溝)を深く掘り下げます。単に掘るだけでなく、畑の外へ水がスムーズに流れていくよう、「明渠(めいきょ)」としての排水ルートを意識して整えるのがポイントです。

4. 土を踏み固めない(特に雨上がり)

湿った状態の土を踏むと、土壌中の大切な隙間(気相)が押し潰され、排水性と通気性が極端に悪化します。春先は特に作業エリアを限定し、雨上がりのぬかるんでいる時には無闇に畑に入らないよう徹底しましょう。

健康と安全への留意点: 排水不良の土壌は、カビなどの病原菌が繁殖しやすい環境です。作業後は手洗いを徹底し、衣類に付着した泥は早めに落としましょう。また、重い土を扱う畝立て作業は腰への負担が大きいため、適切な姿勢を心がけ、こまめに休憩を挟んでください。

土質改良をしている画像

② pH調整(石灰)の正しい考え方:肥料を効かせるための下準備

排水対策の次に行うのが、土壌の「酸度(pH)調整」です。 多くの春野菜は、**pH6.0〜6.5(弱酸性)**の環境を好みます。しかし、日本の畑は雨が多く、雨水に含まれる成分によって土壌中のアルカリ分が流されやすいため、放っておくと土はどんどん「酸性」へと傾いてしまいます。

土が酸性に寄りすぎると、根が傷んで肥料の吸収効率が著しく低下するため、石灰を用いて適切に調整する必要があります。

石灰の使い方の基本:失敗しない4つのルール

石灰は「ただ撒けば良い」というものではありません。野菜にストレスを与えないよう、以下の基本を守りましょう。

  1. 「苦土石灰(くどせっかい)」を選ぶのが無難 石灰にはいくつか種類がありますが、家庭菜園では「苦土石灰」がおすすめです。酸度を調整するだけでなく、植物の光合成に欠かせない成分である「マグネシウム(苦土)」を同時に補給できるため、初心者でも扱いやすく失敗が少ない資材です。
  2. 植え付けの3〜4週間前に散布する 石灰が土と反応して酸度が安定するまでには時間がかかります。植え付け直前に撒くと根を傷める「石灰焼け」の原因になるため、余裕を持って早めに作業を済ませましょう。
  3. 1㎡あたり100g前後を目安にする 一般的に、大さじ1杯が約10g〜15gですので、1㎡(1m×1m)に対して「両手に軽く2杯分」程度が目安です。ただし、元々アルカリ寄りの土に撒きすぎると逆効果になるため、可能であれば市販の簡易pH計で現状を把握してから調整するのが理想的です。
  4. よく耕して土と均一に混ぜる 表面に撒くだけでは効果が偏ります。クワやスコップで深さ15〜20cm程度までしっかりと耕し、土全体に石灰が行き渡るように丁寧に混ぜ込みましょう。

⚠ 注意点(安全管理)

粉塵の吸入に注意: 風の強い日の散布は避け、粉末が目や鼻に入らないよう注意してください。万が一目に入った場合は、すぐに大量の水で洗い流し、医師の診察を受けてください。

「石灰焼け」による皮膚への刺激: 石灰(特に消石灰や生石灰)は水分と反応すると熱を発したり、強いアルカリ性を示したりします。皮膚に付着すると炎症を起こす恐れがあるため、作業時は必ず長袖・長ズボン・手袋・マスクを着用してください。

肥料との同時使用を避ける: 石灰と窒素肥料を同時に混ぜると、化学反応によってアンモニアガスが発生し、野菜の根を痛めたり、肥料成分が逃げたりすることがあります。**「石灰を撒いてから1週間以上空けて肥料を入れる」**という順序を必ず守りましょう。

春の畑を耕している農夫

③ 堆肥で「生きた土」を作る:根の成長を加速させる土壌改良

春野菜は気温の上昇とともに驚くべき速さで成長します。そのスピードについていくためには、根がストレスなく、素早く四方に張れる「ふかふかの土」が理想です。石灰でpHを整えた後は、堆肥を投入して土の物理性を改善し、微生物が活発に働く「生きた土」を目指しましょう。

堆肥の重要な3つの役割

堆肥は単なる肥料ではなく、土の「体質改善」を担うサプリメントのような存在です。

  1. 土を柔らかくする(通気性の向上): 土の粒子を適度な塊にする「団粒構造」を促進し、根が伸びやすい柔らかい土壌を作ります。
  2. 排水性・保水性を両立させる: 余分な水はサッと逃がしつつ、野菜が吸うために必要な水分はしっかりと保持する、バランスの良い土へと導きます。
  3. 微生物を増やし、根張りを良くする: 土壌中の多様な微生物を活性化させることで、病原菌の増殖を抑え、根が養分を吸収しやすい環境を整えます。

堆肥の選び方と適切な量:質とバランスが鍵

「たくさん入れるほど良い」という考えは、土壌環境を悪化させる原因になります。適切な質と量を守りましょう。

  • 必ず「完熟堆肥」を使用する(未熟なものはNG): しっかりと発酵が終わった「完熟」タイプを選んでください。未熟な堆肥は、土の中で再発酵してガスを発生させ、根に深刻なダメージ(根焼け)を与えたり、病害虫を引き寄せたりするリスクがあります。
  • 1㎡あたり2〜3kgが目安: 一般的な家庭菜園では、1㎡につきバケツ1/4〜1/3杯程度が適量です。土の状態を見ながら、過剰にならないよう調整しましょう。
  • 「適量」を厳守する(肥料過多・虫害の防止): 堆肥を入れすぎると、土壌内の養分バランスが崩れ、アブラムシなどの害虫が発生しやすくなります。また、過剰な栄養分は地下水を汚染する原因にもなるため、環境保護の観点からも「腹八分目」の投入が正解です。

【健康と安全への留意点】

重い資材の取り扱い: 堆肥の袋は重く、腰を痛める原因になります。持ち上げる際は膝を曲げて重心を低くし、無理な姿勢での作業を避けましょう。

衛生管理と感染症予防: 堆肥には多くの微生物が含まれています。作業中に小さな傷口から細菌が入るのを防ぐため、必ず厚手の園芸用手袋を着用してください。また、作業後は石鹸で爪の間まで丁寧に手を洗い、衛生状態を保ちましょう。

粉塵・カビの吸入防止: 乾燥した堆肥を扱う際、微細な粉塵やカビの胞子が舞うことがあります。アレルギー反応や呼吸器への負担を避けるため、特に風の強い日の作業は控え、マスクを着用して吸い込まないよう注意してください。

④ 元肥は“効かせすぎない”:失敗を防ぐ「腹八分目」の施肥術

土づくりが終わると、いよいよ野菜の栄養となる肥料の投入です。春は気温の上昇とともに肥料の分解が進み、植物が養分を吸収しやすい環境になります。しかし、ここで肥料を入れすぎてしまうと、茎ばかりがひょろひょろと伸びる「徒長(とちょう)」や、病害虫に対する抵抗力の低下を招くため注意が必要です。

春の元肥:成功させるための考え方

初期成長を支える「元肥」は、多すぎるよりも「少し足りないかな?」と思う程度から始めるのがコツです。

  • 市販の「野菜用配合肥料」を活用する: 窒素・リン酸・カリがバランスよく配合された市販の肥料は、初心者でも成分管理がしやすく安全です。有機・化成を問わず、まずは信頼できるメーカーの「野菜用」を選びましょう。
  • 表示量の「8割程度」を目安にする: パッケージに記載されている標準量はあくまで目安です。春は肥料の効きが良いため、まずは控えめに(8割程度)施し、土壌への負担を軽減させましょう。
  • 葉物野菜は特に控えめに: レタスや小松菜などの葉物野菜に肥料を与えすぎると、葉が硬くなったり、硝酸態窒素(過剰な養分)が蓄積して苦味の原因になったりすることがあります。食味と安全性を保つためにも「少量」を意識します。
  • 不足分は「追肥(ついひ)」で調整する: 最初から全ての肥料を土に混ぜ込むのではなく、成長の様子(葉の色や勢い)を観察しながら、後から追加で与える方が、失敗のリスクを劇的に下げることができます。

【健康と安全への留意点】

  • 過剰な施肥による健康・環境リスク: 肥料(特に窒素分)を過剰に与えると、野菜に硝酸イオンが蓄積しやすくなります。また、使い切れなかった肥料成分は地下水へ流出し、環境汚染の原因にもなります。「適切な量を守ること」は、食べる人の健康と自然環境の両方を守ることに繋がります。
  • 誤飲・誤食の防止: 肥料は、お子様やペットが食べ物と間違えて口にしないよう、使用後は袋の口をしっかり閉じて施錠できる場所や高い場所へ保管してください。
  • 皮膚の保護: 化成肥料や未熟な有機肥料が肌に直接触れると、荒れたり炎症を起こしたりする場合があります。散布時は必ず手袋を着用し、作業後は念入りに手を洗ってください。

種まきから植え付けの説明画像

⑤ 春野菜向けの耕し方と深さ:野菜の「根」に合わせた環境づくり

土壌に石灰や肥料を入れたら、次は野菜が根を伸ばすスペースを確保するための「耕うん(土を耕す作業)」です。野菜の種類によって根が伸びる深さは異なるため、育てる作物に合わせて耕す深さを調整しましょう。

野菜別・理想の耕深(こうしん)目安

  • 葉物野菜(レタス・小松菜など):深さ20cm程度 根が比較的浅く広がるため、表層から20cmほどを重点的にふかふかに整えます。
  • 根菜(にんじん・だいこん):25〜30cm以上、入念に 土中深くへ伸びる根菜類は、最も深い耕うんが必要です。途中で石や硬い土の塊に当たると、根が分かれる「二股」の原因になります。可能な限り深く耕し、障害物となる石を丁寧に取り除きましょう。
  • 豆類(スナップエンドウなど):20cm前後でOK 豆類は過度な深耕よりも、適度な通気性が重要です。表面から20cm程度をさっくりと耕し、水はけを確保します。

「耕してすぐ植える」はNG:土を寝かせる時間の重要性

耕した直後の土は空気が入りすぎて不安定な状態です。植え付けの1〜2週間前には耕うんを終わらせ、「寝かせる」時間を設けましょう。

  • 土を落ち着かせる: 土の粒子が適度に馴染み、苗の根が密着しやすい環境になります。
  • 化学反応を待つ: 石灰や肥料が土と反応し、植物の根を傷めない安全な状態(熟成)へと変化します。
  • 微生物を安定させる: 攪拌(かくはん)によって活性化した微生物の動きが安定し、栄養分が植物にスムーズに受け渡されるようになります。

【健康と安全への留意点】

  • 腰痛や怪我の防止: 深く耕す作業は全身、特に腰への負担が非常に大きくなります。背中を丸めず、足腰を使ってクワを振るよう意識し、20〜30分ごとに立ち上がってストレッチを行うなど、**「無理のない作業計画」**を立ててください。
  • 破傷風の予防: 土の中には破傷風菌などの細菌が潜んでいる可能性があります。作業中にクワや石で指先を傷つけると感染のリスクがあるため、必ず丈夫な園芸用手袋と長靴を着用し、怪我をした場合は速やかに適切な処置を行ってください。
  • 農具のメンテナンス: 使用後のクワやスコップは泥を落として乾燥させてください。不衛生な道具は植物の病気を媒介するだけでなく、錆びた刃物での怪我は重症化しやすいため、常に清潔な状態を維持しましょう。

春耕運で畝立された畑

⑥ 畝立てと地温対策:苗の「足元」を温めて初期成長を促す

春の菜園において、最大のハードルは「冷たい土」です。外気温が上がっても土の温度(地温)はすぐには上がりません。地温が低いと根の活動が鈍り、せっかく植えた苗が「停滞」してしまいます。畝の形と資材を工夫して、苗がスムーズに動き出せる環境を整えましょう。

春野菜を加速させる「3つの温度管理術」

  1. 南北畝(なんぼくうね)で日当たりを最大化する 畝を南北方向に作ることで、太陽の光を東から西まで一日中均等に当てることができます。畝全体が温まりやすくなり、日照不足による生育ムラを防ぎます。
  2. 風が強い場所は「防風ネット」を併用する 春の強い風は、苗を物理的に傷つけるだけでなく、地表の熱を奪って地温を下げてしまいます。不織布のトンネルや防風ネットを設置し、冷たい風から苗の「体温」を守りましょう。
  3. 黒マルチで「地温上昇+雑草防止」の一石二鳥 特に早春の栽培では、**黒マルチ(農業用ポリフィルム)**の有無が生育の差を決定づけます。太陽熱を効率よく吸収して地温を上げ、根の張りを劇的に良くします。同時に、春から勢いを増す雑草を抑える効果もあり、管理が非常に楽になります。

【重要】マルチング成功のポイント

黒マルチは、**「土が適度に湿っている時」**に張りましょう。乾燥しきった土に張ると、逆に水分が入りにくくなります。また、シワがないようにピンと張ることで、太陽熱が効率よく土に伝わります。

【健康と安全への留意点】

  • 紫外線と熱中症への対策: 春の紫外線は意外に強く、マルチの照り返しによって体感温度も上がります。帽子を着用し、こまめな水分補給を心がけてください。
  • 資材の安全な取り扱い: マルチを固定するピン(Uピンなど)は、土にしっかり深く打ち込んでください。中途半端に浮いていると、作業中に足を引っ掛けて転倒する恐れがあり危険です。
  • 物理的な過労防止: 畝立ては中腰での作業が多くなります。一気に完成させようとせず、1本畝を作るごとに腰を伸ばすなど、身体への負担を分散させる工夫をしましょう。

よくある失敗例と対策:初心者が陥りやすい「4つの落とし穴」

土づくりは、良かれと思ってやったことが逆効果になる場合があります。ここでは、特に多く見られる失敗例とその具体的な解決策をまとめました。

1. 石灰と肥料を同時に混ぜてしまう

  • 失敗の理由: 石灰(アルカリ性)と窒素肥料が反応すると、アンモニアガスが発生します。これが根を傷める原因になるほか、大切な肥料成分が空気中に逃げてしまいます。
  • 解決策: **「時期を分ける」**のが鉄則です。まず石灰を撒いて耕し、1〜2週間ほど馴染ませてから肥料(元肥)を投入するようにしましょう。

2. 「栄養が多い方が良い」と堆肥を入れすぎる

  • 失敗の理由: 堆肥の過剰投入は、土壌の養分バランスを崩し、アブラムシなどの害虫を大量発生させる原因になります。また、未熟な堆肥の場合は土中で再発酵し、根に深刻なダメージを与えます。
  • 解決策: **「腹八分目」**を心がけましょう。1㎡あたり2〜3kgの適量を守り、足りない分は成長に合わせて「追肥」で補うのが最も安全で確実です。

3. 排水対策を後回し(無視)にする

  • 失敗の理由: どんなに良い肥料を使っても、土が水浸しでは根が呼吸できず、腐ってしまいます。春の長雨(菜種梅雨)を軽視すると、植え付け直後に苗が全滅するリスクがあります。
  • 解決策: **「高畝・溝掘りを最優先」**にします。特に粘土質の畑では、15〜25cmの高さの畝を作り、周囲に水の逃げ道を作ることで、根の酸素不足を徹底的に防ぎましょう。

4. 耕してすぐに苗を植えてしまう

  • 失敗の理由: 耕した直後の土は環境が激変しており、微生物の活動も不安定です。また、石灰や肥料が化学的に落ち着いていないため、デリケートな若い苗の根が「肥料焼け」を起こしやすくなります。
  • 解決策: **「土を1〜2週間休ませる」**時間を設けてください。この「待ち時間」が土と資材を馴染ませ、苗がスムーズに根を張れる「優しい環境」へと整えてくれます。

【健康と安全への最終アドバイス

  • 作業の安全性: 失敗を挽回しようと焦って重い土を動かすのは、腰痛や転倒事故のもとです。作業は計画的に進め、体調が優れない時は無理をせず翌日に回しましょう。
  • 衛生と食の安全: 害虫対策に農薬や防除資材を使用する場合は、必ずラベルの指示を守り、過剰な使用を避けてください。
  • 適切な情報収集: インターネット上の情報だけに頼らず、お住まいの地域の農業指導員や種苗店の助言も参考に、現地の気候に合わせた調整を行いましょう。

 

まとめ|春野菜は「土づくり」で8割決まる

春野菜の栽培において、土づくりは単なる準備運動ではありません。その仕上がりが、収穫の質と量を左右する「本番」そのものです。

大切なのは、**「排水 → pH → 堆肥 → 肥料 → 畝」**という正しいステップを順番に踏むこと。一つひとつの作業は地味で地道なものですが、この基礎を丁寧に行うことで、菜園には以下のような素晴らしい変化が生まれます。

土づくりを丁寧に行うメリット

  • 発芽が揃う: 水分と温度が安定し、種が一斉に芽吹きます。
  • 苗の活着(根付き)が良くなる: 植え付け直後のデリケートな根が、ストレスなく土に馴染みます。
  • 病害虫が減る: 根が健康に育つことで、植物本来の抵抗力が強まり、トラブルに強い株になります。
  • 収穫が安定する: 成長スピードの速い春野菜も、最後まで息切れせずに立派な実りをもたらしてくれます。

まずは、苗を迎え入れるための「温かいベッド」を整えることから始めましょう。土が完成し、春の陽気に包まれて野菜が力強く芽吹く瞬間は、何物にも代えがたい喜びです。

【健康と安全への最終アドバイス

  • 無理のない作業計画: 春の土づくりは体力を使います。急な気温変化に注意し、こまめな休憩と水分補給を忘れずに、自分のペースで進めてください。
  • 衛生管理の徹底: 土には多様な微生物が存在します。作業後は手洗いや道具の洗浄をしっかりと行い、清潔な状態を保つことが、あなたとご家族の健康を守ることにつながります。
  • 正しい情報の活用: 気象庁の「霜予報」や地域の植え付けカレンダーを参考にし、天候に合わせた柔軟な対応を心がけましょう。

まとめ|春野菜の土づくりポイント15

  1. 春野菜づくりは植え付け前の土づくりで結果の大半が決まる
  2. 春は雨が多いため、最優先で排水性を改善する
  3. 水はけが悪い畑は高畝と深い溝で対応する
  4. 春野菜の適正pHはおおむね6.0〜6.5が目安
  5. 石灰は植え付けの3〜4週間前に施し、肥料と同時投入は避ける
  6. 土壌改良には必ず完熟堆肥を使い、入れすぎない
  7. 堆肥は土を柔らかくし、根張りと微生物環境を整える
  8. 元肥は表示量よりやや控えめにするのが春の基本
  9. 肥料不足は追肥で調整した方が失敗しにくい
  10. 耕うん後はすぐ植えず、土を1〜2週間休ませる
  11. 根菜類は深めに耕し、石や硬い土を取り除く
  12. 畝立ては日当たりと風通しを意識する
  13. 黒マルチは地温確保と雑草防止に効果的
  14. 春先は不織布やトンネルで防寒・防風対策を行う
  15. 土づくりが整えば、春野菜は管理が格段に楽になる

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